子どものお片付けは、子育ての中でも多い相談の一つです。片付けの習慣がつかない、何度も言わないと片付けない、片付ける前に次のおもちゃを出す、散らかっていても平気など、お片付けに関して何かしらのストレスを抱えている方も多いのではないでしょうか。
「3歳の子どもは、いつもおもちゃを出しっぱなしにします。片付けなさいと言っても全然動きません。何度も繰り返し言って、ようやく片付け始めるという毎日で困っています。どうして片付けをしないのでしょうか。」
今回は、このような相談にお答えします!
片付けない理由と対応のコツ
理由① 楽しくないから
片付けは遊びとは違い、楽しい活動ではありません。また、片付けは往々にして叱られたり指示されたりした後にやらされるというシチュエーションが多く、子どもにとってはネガティブなイメージがついていることもあります。
幼児のやる気は「それが楽しいかどうか」で決まります。つまり、「楽しくないからやらない」というように、自分の気持ちに正直に行動しているだけなのですね。楽しくないことを主体的に行うのは難しい 子どもにとって楽しくないお片付けを進んで行うのは、大人の想像以上にハードルが高いことなのです。
大人でも、掃除や整理整頓は面倒だったり後回しにしたくなったりすることがあります。大人の場合は自身をコントロールして行動することができますが、子どもの場合はそうはいきません。楽しくないことを主体的に行うのは、大人の想像以上にハードルが高いのです。
対応のコツ
片付けを楽しい遊びにする
片付けが楽しくないなら、楽しい遊びに変えてあげることがおすすめです。「遊びが終わっちゃう寂しいこと」から「楽しい遊びの続き」と意識を変えてあげると、片付けも楽しい時間に早変わりします。
例えば、「どっちが早く片付けられるかママと競争ね!」「きれいに入れた方が勝ち!ママに審判してもらおう」など、ゲーム性を持たせるのもいいですね。その場合、親は手加減をしてあげて、子どもに花を持たせてあげると自信につながり、片付けに対するイメージもプラスになると思います。
片付けたらほめる、認める
自分から片付けを始めた、上手に片付けられた、最後まで片付けたという時は、その行動と気持ちをしっかり認め、ほめてあげましょう。片付けは良い行動ということを知り、習慣化に向けた一助になります。
理由② 遊ぶのを止めたくないから
子どもにとって、遊びの時間は何よりも楽しい時間です。空腹も忘れ、トイレに行くのも忘れ、周囲の声も聞こえないほど夢中になって遊ぶ姿も珍しくありません。「片付け」=「遊びの終了(中断)」を意味します。片付けと遊びを両天秤にかけたら、遊びが勝つのは当然ですね。大人でも、ドラマの途中で話しかけられたり、友達との楽しい会食の最中に店員から「そろそろお時間です」と中断されたりするといい気分はしません。子どもも同じ心境ですね。
ですから、片付けを理解していた子であっても、素直に言うことを聞いて片付けるとは限らないのです。そこには「今の子の楽しい遊びを中断したくない」という思いがあるからなのですね。
対応のコツ
片付けを楽しい遊びにする
「理由①」と共通です。
片付けの理由と時間を伝える
幼児は先の見通しがわかると安心して行動できるようになります。事前に理由や時間をわかりやすく伝えて、あらかじめ片付けを促しておくとスムーズです。「6時半にご飯だから、長い針が2になったらお片付けね。」など伝えておくといいでしょう。
伝えるのは片付け間際ではなく、遊ぶ前や遊び始めなど少し早めの予告がおすすめです。特に幼児期後半になったら、自分なりに遊び方を考える姿も見られるようになると思います。時間の感覚や見通しを立てる力も養われます。
子どもと一緒に片付けのルールを決める
家庭での片付けのルールを決めておくといいでしょう。ポイントは「子どもと一緒に決めること」です。大人は美しく整理整頓するやり方を知っていますが、親が思う方法と子どもが「片付けやすい」と思う方法は異なる場合が多いようです。子どもの意見を聞きながらルール設定をしましょう。自分で決めたルールであれば、進んで片付ける気持ちになりやすいです。
理由③ 片付けの意味を理解していないから
幼児は「片付け」の言葉を知っていても、その意味をきちんと理解できていないことが多いです。片付けとは何をすることなのか、なぜやるのか、いつどのタイミングでやるのか、どのようにやればいいのか…案外、片付けの概念は難しいのです。ちなみに、お片付けができるようになるのは2~3歳頃からと言われています。
また、次々におもちゃを乗り換えて遊ぶ幼児も珍しくありません。大人は「どんどんおもちゃを出して散らかして!!」と思ってしまいますが、子どもは恐らく散らかしているという意識はないでしょう。遊び終えたおもちゃが手から放れた瞬間から、そのおもちゃへの意識は無くなるだけなのです。
対応のコツ
親が一緒に片付ける
「片付けなさい」の指示は出しても、片付け方を教えていないことが多いようです。幼児の場合、まずは親が実践しながら、一緒に片付けるところからスタートしましょう。一緒に片付けながら、「車はあの箱にないないしてね」「お人形はあっちの棚に置いてね」など、片付けのやり方を言葉にしながらやって見せてあげることが大切です。一緒に片付けをしながら動作を教わることで、「片付け」を理解し、徐々に習慣化へとつながっていきます。
片付けが終わったら、「お人形さん、お家に帰れてよかったね」「お部屋がきれいになって気持ちいいね」と言いながら、片付けの大切さや整理整頓の気持ちよさも知らせてあげましょう。
親がお手本になる
片付けはおもちゃに限ったことではありません。日々の生活で、使ったら片付ける、物は大切に扱う、出しっぱなしにしないなどの行動を見せてあげましょう。家族全員で整理整頓された環境を意識した生活を送ることが、子どもの良いお手本となります。
理由④ 片付けのための環境が整っていないから
子どもが進んで片付けをしないのは、環境に原因がある場合が多いようです。届かない棚、開けにくい引き出し、入れにくい箱、固い蓋、箱に対して多すぎるおもちゃ、しまう場所が変わるなど、ちょっとした収納環境が原因で片付けられない場合があります。大人から見ると些細なことのように感じますが、このような細かい点を配慮してあげるだけで、片付けに対する意欲が変わってきます。主体的に片付けができる子どもを育てるためには、子どもが片付けやすい環境設定を心掛けることがカギとなります。
対応のコツ
収納場所はシンプルにする
片付けの工程は、とにかくシンプルにすることがコツです。収納場所は、蓋がついていない箱&扉がない棚がおすすめです。蓋の開け閉めなど、片付けに直接関わりのない作業は、最初から省いておくという発想です。蓋を開けるだけで力尽きて、肝心のおもちゃを収納できなかった…となっては本末転倒になってしまいます。
定位置を決める
おもちゃの定位置を決めましょう。ぬいぐるみは一番下の棚、ミニカーはプラスチックの箱、クレヨンは引き出しなど、子どもがわかりやすい仲間で分類すると片付けやすいです。定位置を決めたら変えないようにします。遊ぶ度に片付ける場所が変わってしまうと混乱してしまいます。
また、箱にシールを貼ったり、イラストを描いたラベルを貼ったり、箱の色を変えたりして、年齢の低い子でも識別できる工夫をするのもおすすめです。
おもちゃを出す量を減らす
持っているおもちゃをすべて出していませんか。幼児が一度に扱えるおもちゃの量は多くありません。せっかくあるからと全部出してしまうとキャパオーバーになります。実は、おもちゃが片付かない原因は「おもちゃの出しすぎ」がほとんどと言われています。
出すおもちゃの数は絞ることが大切です。今、夢中になっているおもちゃだけを出すのがおすすめです。絞れない場合は、遊べる時間やおもちゃの対象年齢を考慮するとうまくいきます。
他のおもちゃは子どもの目につかない場所に保管しておき、遊んでいる最中に「あのおもちゃはどこ?」と聞かれたら出すという形をとるといいですね。
親のNG言動
子どもに片付けの良い習慣を身に付けてほしい、片付け上手になってほしい、、、親心からいろいろなことをしてあげたくなりますね。でもついやってしまったその言動が、子どもの片付けの意欲を削いでしまうこともあります。参考にしてみてください。
「片付けないなら捨てるよ」と脅す
子どもはおもちゃを捨てられるは嫌なので片付けると思います。でも捨てられたくないからやるだけなので、片付けの習慣はつきません。子育て全般に共通しますが、賞罰を使う子育ては対症療法で終わってしまいがちなので気をつけたいですね。
細かいルールを守らせる
ルールも環境の一部です。シンプルを基本にすることがポイントです。パーツや素材ごとに細かく分ける、向きや色を揃えるなどの細かいルールは、子どもにとっては難しいです。確かに整然と美しく片付くかもしれませんが、子どもが守れない細かいルールは逆効果です。そのルールを守ることが苦痛で片付けをしなくなる場合もあります。子どもが主体的に片付けられるルールを子どもと一緒に作ることが大切です。
子どもに丸投げする
これまで見てきたように、子どもにとって片付けは、精神的にも動作的にも難易度が高い活動です。幼児のうちは片付けのすべてを子どもに任せるのは無理があります。親がサポートしてあげることが大切です。
親の都合で片付けを促している
片付けを習慣化するには、片付けのタイミングやルールに一貫性を持たせることが必要です。部屋の散らかりが目に付いた時だけ叱ったり、急ぎの用事がある時は「それはもういいよ」と片付けを中断させたり、子どもの絵本棚に大人の雑誌を入れたりなど親の都合を出してしまうと、子どもは納得がいかず、片付けをしなくなってしまいます。
最後に
片付けは大切な生活習慣の一つです。でも「完璧」を求める必要はありません。子どもの目線に立ちながら、柔軟な対応をすることも必要です。子どもが疲れている日は片付ける気持ちが見られたらよし、箱内に雑に入っているけど全部入れたからよしなど状況に応じて、適度に緩めることがおすすめです。
片付けは毎日のことです。親子ともにできるだけストレスを感じることなく、長期スパンで徐々に片付け上手な子を育てられたらいいですね。
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