国によって多少の差はあるものの、人口の8%~15%が左利きと言われています。右利きの方が多い理由については諸説あり、今だはっきりしてません。ただ左利きの子が少数派であることは事実ですので、利き手について気になるという声も多く聞かれます。
「4歳の子どもがいます。鉛筆、スプーン、お箸、ハサミなどを左で持ちます。最近、『左利きは損をする』という意見を聞きました。やはり直した方がいいのでしょうか?」
今回は、このような相談にお答えします!
無理に矯正しなくてもいい
一昔前は、日本だけでなく世界的にも「右利きに直した方がいい」という考え方が強い傾向にありました。「少数派は間違い」という昔の考え方も要因の一つでしょう。
でも今は多様化する社会の中で、それぞれの個性が認められる時代になりました。左利きのメリットも「個性」としてとらえ、無理に矯正しなくてもいいという考え方が主流となっています。
ただ、日常生活で不便なことが多いなら幼児のうちに直してあげたい、苦労を一つでもなくしておいてあげたいと思う気持ちも親心ですね。
まだ完全に利き手が決まっていないうちであれば、お試し感覚で右手も使わせてみて様子を見るのがいいでしょう。
また、いきなり全部を右に直すのではなく、鉛筆は右、ボールは左というように、その子のやりやすい形で利き手が変わるのも受け入れてあげましょう。両方使える方が将来的にも得ですね。
但し、嫌がるようでしたらやめておくことをおすすめします。右利きに直すことは周囲の想像以上に子どもへの負担が大きいのです。
その結果、心理的な緊張から吃音(どもり)などの言語障害、おねしょなどの排泄障害、劣等感や反抗心からくる異常行動などの障害を起こしてしまう場合もあります。
特に3歳を過ぎてから右利きに直す場合は要注意です。「左手じゃなくて右手」「左手は使っちゃダメ」と子どもに押し付けるのではなく、「両手を使えると便利よ。やってみる?」という気持ちで右手を使い始めることがおすすめです。上手に右手が使えなくても叱ることだけは避けましょう。
左利きの要因や決まる時期は?
利き手とは、左右の手のうち運動能力や器用さが優れている方の手のことです。
とっさに出る方の手はどちらでしょうか。反射的な行動を含め、より多く使う手を考えるとわかりやすいですね。
左利きの要因は?
左利きになる原因はあるのでしょうか。気になる所です。でも左利きになるメカニズムは謎めいた部分が多く、はっきりわかっていません。
一般的には、大脳が右脳と左脳に分かれているために起こる現象という説がポピュラーです。手、足、目、耳など2つある器官は、必ずどちらかが優位に働くという差があります。例えば、ズボンを履く時に、無意識に利き足から履くというというような現象ですね。
ただ、利き手については、先天的なものもあれば生まれた後の様々な体験によるものもあります。現段階では、多くの要素が複雑に絡み合って起きる現象ととらえておくのがいいでしょう。
利き手はいつ決まるの?
利き手が本格的に決まるのは、4歳頃と言われています。0~3歳までは、左右両方の手を使いながらいろいろな経験をしている最中なので、まだ利き手がどちらかは定まっていません。2~3歳でスプーンを持つ手が左だと、左利きかしら?と思うかもしれませんが、もう少し様子を見てもいいでしょう。
左利きのメリット・デメリット
「左利き」へのイメージは人それぞれだと思いますが、そもそも左利きでの生活において右利きと違う点があるのでしょうか。
不便とまではいかないけどちょっと面倒だなと感じること、左利きで良かったなと思うことを実際に左利きの人が感じていることをまとめてみました。
メリット~良かったなと感じること~
・頭が良さそうに見える
・個性的と思われる
・スポーツの世界で有利(対戦相手が慣れていないため)
・少数派なので目立てる
・天才型の有名人が多いため、天才肌に見られる
・芸術的、独創的でセンスが良さそうに見られる
デメリット~不便だなと感じること~
・右利き優先社会のため様々な場面で面倒が生じる(自動改札を通りにくい、トイレットペーパーが取りにくい、ドアノブを回しにくい、エレベーターのボタンが押しにくい、レストランでフォークやナイフを並べ直すなど)
・字が書きにくい(基本的に文字は左から右の流れのため)
・横に座った人と肘が当たる
・横型のノートで手が汚れる、文字が隠れて見えない
・左利き用グッズは割高
最後に
子どもの成長とともに、手を使ってできることもどんどん増えてきます。利き手のことも気になりますね。
中には、自分が周りの子と利き手が違うことを認識し「私はどうして左なの?なんでみんなと違うの?」と不安に感じる子もいるかもしれません。そんな時は、左利きのメリットを話しながら、自信を持たせてあげましょう。「世の中は、男の子もいれば女の子もいるし、背の高い子もいれば低い子もいるよね。手も同じよ。左利きの子もいれば右利きの子もいるのよ。」などと伝えてあげるのもおすすめです。
大事なことは、左か右かではなくそれぞれがそれぞれの個性を受け入れ、自分の個性を大切にしながら伸びていくことですね。
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