正直、子どもの泣き声は強烈ですよね。ちょっとしたことですぐに泣かれてしまうと、ついカッとなってしまうこともあるのではないでしょうか。赤ちゃんの頃は仕方ないと思っていても、大きくなってもすぐ泣く状態だと余計に気になりますね。まずは、すぐに泣いてしまう理由を知ることが大切です。
「5歳の娘がいます。すぐに泣くので困っています。思い通りにいかないと泣く、上手にできないと泣く、忘れ物をすると泣く…。幼稚園でも泣くことが多いようです。来年は小学校入学なのに心配です。」
今回は、このような相談にお答えします!
すぐ泣く理由と対応
すぐ泣くのはなぜでしょうか。それぞれに理由があるので、一つ一つを把握して、理由に応じた対応をすることが大切です。
気が弱くデリケートだから
ちょっとしたことでも過敏に反応して泣いてしまいます。お友達が強めの口調だった、人とぶつかった、虫が飛んできたなど大人からすると大したことではないようなことでも涙が出ます。本人も好きで泣いているわけではない場合がほとんどです。
親心として「もっとたくましく育ってほしいのに」と思うこともあるかもしれません。
でも繊細な子は、感受性豊かで他人の気遣う優しさがある、物事を深く考える傾向にあるとも言われ良い面もあります。
少しずつ、泣かずに乗り越える力を身につけている途中なのですね。
対応
・無理に泣くことをやめさせない
→「強くなれるように鍛えなきゃ!」と厳しくするのは逆効果です
・子どもの気持ちや感じ方に寄り添い、受け入れる
→大人にとっては些細なことも、子どもにとっては大ごとかもしれません。子どもの目線で考えてみましょう
・解決できる方法を一緒に考える
→「泣いてもいいよ。涙が止まったらお友達のところへ行ってお話ししてみようね。」など、泣くことを否定せずに解決の言葉を掛けてあげるといいですね
不安で甘えたいから
成長とともにできることがどんどん増え、言葉も上手になります。周囲からの期待も高まり、お兄ちゃん・お姉ちゃんになったという自覚や自信が育ってきます。
一方で、周りの人の顔色をうかがうようになり、友達への競争意識もでてくるため、「うまくできないかも」「友達より劣っているかも」という不安も感じています。
頑張りたいけど不安で甘えたいという気持ちから、情緒不安定になり涙を流す場合があります。子どもは何歳になっても親に甘えたいものです。
対応
・不安な気持ちに共感する
→話してくれる出来事にきちんと耳を傾け、丁寧に向き合ってあげることが大切です
・「泣くのは止めなさい」と叱らない
・十分に甘えさせる
→ギュッと抱っこをしてあげるなどスキンシップをとりながら、「愛してるよ」の気持ちをぬくもりで伝えましょう
悔しいから
いわゆる「負けず嫌いな子」です。
ゲームやスポーツで負けた時、1番に並べなかった時、クイズで間違えてしまった時などに悔しくて泣いてしまいます。せっかく楽しくゲームをしていたのに、雰囲気がまずくなりつまらなくなってしまったということもあります。勝ちたい思いが強すぎて、負けた時の気持ちを抑えきれずに泣いてしまうのです。
でも「負けず嫌いな子」は、競争心が強いことから、スポーツや学業で好成績を残す可能性を秘めています。上手な対応をし、悔しい体験をバネに持ち前の力を伸ばしてあげたいですね。
対応
・悔しい!という感情を受けとめ、気持ちを代弁してあげる
・「泣いてもしょうがないでしょ!」と叱らない
→本人も「泣いても負けは負け」ということはわかっています。正論をぶつけても逆効果です。
要求を通したいから
いわゆる「泣き落とし」です。泣くことで、自分の要求を叶えようとします。
一般的に、成長とともに「泣けばいい」という姿は減ってきます。5~6歳になると「泣き落とし」の作戦は通用しないとわかり、大半の子はおさまってきます。ただ、周囲が対応を間違えてしまうと、子どもはいつまでも「泣き落とし」から脱却できません。
このパターンは、周囲の対応が重要です。いくつになっても、泣けば手に入る、泣けばやらなくて済む、泣けば動画が見られる…が通用するのであれば、「泣くことは正解」と思ってしまうのは当たり前ですね。成長とともに対応を変え、「泣き」に頼らなくても前に進む力を育てていきましょう。
対応
・泣かずに我慢できた時にほめる
→「泣かずに我慢できて偉かったね」と声を掛けるといいでしょう。
・方針を変えない
→例えば、スーパーに入る前に「泣いたら帰るよ。」と約束をしたのに店内で泣いたとしたら、買い物を中断して帰りましょう。有言実行でぶれないことが大切です。
・言葉よりも行動で伝える
→お菓子がほしくて泣く子に「泣くのをやめなさい」と一喝するより、冷静にお菓子を買わないことを貫く方が伝わります
すぐ泣く子の気持ち~乳幼児期前半~
当然ですが、乳幼児期前半の子ども達もよく泣きますね。5歳児のような幼児期後半の子どもとはまた違った理由があるようです。すぐ泣く子どもの気持ちを覗いてみましょう。
乳幼児期前半、0歳から3歳頃までは、言葉の発達が未熟です。1歳頃からコミュニケーションをとることが上達してきます。でも言葉を使った意思疎通はまだ難しいです。片言を使うようになりますが、きちんと思いを伝えまでには至らないため、結果「泣く」という形で表現するのです。この時期の子どもが泣く主な理由は以下の通りです。
生理的欲求を満たしたい
眠い、お腹が空いている、疲れているなど不快な感覚を処理できない時に泣くことで知らせます。0歳では「泣き」にきちんと応えてくれる大人の存在が欠かせません。愛情を持って対応してくれることが、人に対する安心や信頼を養うことにつながるのです。
欲求を満たしたい
これが欲しい、これがしたい、あそこに行きたい、あれが食べたいなどの欲求を泣くことで伝えます。言葉や身振りで伝わらない時、「泣く」という方法で知らせてくるのです。
不満がある
自分の思いが伝わっていない時に泣きます。やりたくないことをさせられる、楽しいと感じていることを取り上げらるなど不満が生じた時に泣いて主張します。
自分でやりたい
自己主張の強さが激しくなるイヤイヤ期の頃によく見られます。何でも自分でやりたいけどやれない、手伝ってもらうのは嫌だけど上手にできないなどの葛藤から泣いてしまいます。
最後に
泣くことは必ずしも悪い行動ではありません。むしろ、感情が成長した証と言えます。むやみに「泣くのはやめなさい」と言い続けると、感情を出せない子になってしまうかもしれません。
幼児は、まだ泣きたい感情を抑える方法がよくわかりません。また、自分が泣いている理由は何か(悔しいのか、悲しいのか、怒っているのかなど)もはっきりとわかっていません。大人がきちんと理解し、子どもの気持ちを代弁しながら寄り添ってあげることがポイントです。そうすることで、感情を把握し気持ちを整理することを学んでいきます。
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