幼児期の喧嘩…子どもの喧嘩に親の仲裁はOK?NG?

子育て相談
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公園、幼稚園、保育所など、子どもの世界が広がり、集団の中で遊ぶようになると喧嘩が起きてきますね。友達付き合いには喧嘩はつきものとわかっていても、気になってしまうのが親心ではないでしょうか。でも、幼児期の喧嘩の経験は、子どもにとってたくさんの学びをもたらしてくれます。親の対応は「見守る」が基本です。幼児期の喧嘩について詳しくみていきます。

「幼稚園に通う3歳の娘がいます。同じクラスのお友達としょっちゅう喧嘩をしています。遊び出すと必ずと言っていいほど喧嘩をします。口を利かなくなったり、そっぽを向いたりするのに、いつの間にかまた一緒に遊び始めます。そしてまた喧嘩が始まります。この繰り返しなので気になります。親が間に入った方がいいのでしょうか。」

今回は、このような相談にお答えします!

なぜすぐにぶつかるの?

幼児は、些細なことですぐにぶつかって、喧嘩になります。大人からすると「ちょっと相手に合わせれば、まるく収まるのに」と思ってしまう…そんな場面も多々ありますね。
すぐにぶつかる原因の一つとして、幼児期特有の「自己中心性」があげられます。「自己中心性」とは、ものごとを客観視できず、自分中心の立場で見たり考えたりすることをさします。自他の区別をつけるのが未熟な幼児期の思考の特徴とされています。
相手の立場に立って考えるのが難しいので、遊びの場面で、お互いの考えが合わない時に、譲ったり折り合いをつけたりすることができずぶつかってしまうのです。
「自己中心性」からの脱却(脱自己中心化)も小学校に向けて意識したいところです。喧嘩を通して、友達が自分と違う考えを持っていることに気づきます。そして少しずつ相手の気持ちを考えて感情をおさえたり、友達の立場に立って譲ったりすることができるようになります。これを「脱自己中心化」と言います。

親(大人)の対応は?

基本スタンスは「見守る」

子どもの喧嘩やいざこざは、子ども同士で解決できるように「見守る」のが基本です。子どもの喧嘩ですから、親が解決するのではなく、子ども達自身で解決できるようにするのが大切です。
いつまでも収まらなかったり、何度も言い合ったりしているとハラハラしますが、子どもも自分なりに考えているはずです。手を出したい気持ちをグッと我慢しながら、子どもの力を信じて、まずは様子を見守ることをおすすめします。

解決困難の場合はサポーターになる

喧嘩を見守るも、子どもだけではどうしようもない事態に陥ることもあります。その場合は、親(大人)はサポーターとして間に入ってあげましょう。
サポーターの役割は、それぞれの話をよく聞き、両者の気持ちを出し切らせることです。自分の気持ちを出し切り、相手の気持ちを知り、互いに解り合えるように導いてあげることが大切です。
収拾がつかない状態では、すぐに冷静に話すのは難しいかもしれません。その場合は、両者が落ち着くまで待ちましょう。興奮状態で無理に話をさせてもうまく話せません。落ち着いたところで話をよく聞くといいでしょう。
話しの聞き方のポイントは、両者の言い分をバランスよく聞くことです。うまく言葉で表現できない場合は、その子に気持ちに共感しながら代弁してあげましょう。
とにかく両者の気が済むまでとことん話をさせること、喧嘩の内容をお互いによく考えさせることが大切です。

親(大人)がジャッジしない

子どもの喧嘩において、大人がどちらが悪いかの判断しないことも重要です。大人は当事者でもなく裁判官でもありません。大人の役割は、正誤、善悪、勝ち負けなど一方を裁くことではなく、お互いの話をとにかくじっくりと聞くことです。

すぐに止める必要のある喧嘩

基本スタンスは「見守る」ですが、以下の場合はすぐにやめさせた方がいいでしょう。
・身体的攻撃が激しい時(激しい取っ組み合い、噛む、物で叩くなど)
・1対複数になっている時
・暴言が酷い時

喧嘩も変化する

成長にともない、喧嘩の仕方も変化します。幼児期を前半、後半に分けてまとめました。前半から後半にかけ、「具体から抽象」「行動方略から言語方略」へと発達します。子どもの様子をしっかり把握して見守ることが大切です。

 幼児期前半幼児期後半
原因具体
痛み、不快、遊びの邪魔、不要な援助、物や場所の取り合いなど
抽象
ルール違反、イメージのずれ、嘘をつかれた、馬鹿にされたなど
方法行動
身体的な攻撃 (叩く、押す、物を投げる、噛むなど)
言語
心理的な攻撃 (口喧嘩、威嚇表情など)

喧嘩を通して育つ力

喧嘩を通して子どもは様々なことを学びます。以下にまとめましたが、教科書やワークでは学べない「これからの時代に必要な力」が詰まっていることがわかり。子ども時代の喧嘩は、教育的意義が高いと言えるでしょう。

コミュニケーション能力

お友達とぶつかり合いながら、自分の思いを必死で伝えようとします。どうしたら相手に気持ちが伝わるか、どうして伝わらないのか、お友達との関係を立て直すにはどうしたらいいかなど、実践を通して学ぶことができます。同時に、相手が自分と違う考えを持っていることを知り、自己と他者の違いに気づくことができます。

問題から逃げずに解決していく力

お友達とのトラブルは気分がいいものではありません。気まずくなった後の仲直りも嫌なものです。でもそこから逃げずに向き合い、お互いに理解し仲直りすることで、嫌なことから逃げない勇気と問題解決能力が育ちます。

心身の痛みを知り、感情をコントロールする力

人生は思い通りに行かないことだらけです。同世代のお友達との喧嘩を通して、世の中には自分の思い通りにならない場合があるということを学びます。
幼児期前半は、手が出たり、癇癪を起こしたりするかもしれません。でも、手を出してしまった相手が泣く姿を見て罪悪感を抱いたり、手を出された時に「痛い」と感じたり、気持ちが伝わらずイライラしたり、相手の気持ちがわからずモヤモヤしたり…様々な経験を通して心と身体の痛みを学ぶことができます。そして、感情をコントロールし折り合いをつけながら、前に進む力を身につけていくのです。

最後に

子ども時代の喧嘩は悪いことばかりではありません。むしろ自我や社会性の発達には欠かせない経験です。
大人は、喧嘩のような厄介事や問題を起こすのはいけないと考えがちですが、子どもにとって喧嘩は悪いことばかりではないのです。子ども時代の喧嘩は、将来に向けた対人スキルを学ぶ練習の場だと思えるといいですね。
「喧嘩はいけないこと」と言いすぎて、人とぶつかることに対して必要以上の罪悪感を持たせないことも大切です。「喧嘩になっても、お友達に気持ちを伝えてお友達の気持ちもきちんと聞いて、一緒にスッキリすればいいんだよ。」と教えてあげたいですね。

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コメント

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